2016年の歌ってみたカテゴリーに関する雑感

2016年もあと1日足らずで暮れようとしております。
おかげさまで、2016年7月には週刊歌らんは400回を迎え、11月には8周年となりました。そんなこんなで8年以上歌ってみた界隈を第三者的な立ち位置で主に再生数などといった数字を中心にみてきた流れで2016年をざっくりと振り返りますと2016年は

  • 世の中のブームや踊ってみたと歩調を合わせる歌ってみた
  • ボカロ歌ってみたに復調の兆し
  • 替え歌や声真似は堅調
  • 投稿数の落ち込みに一服感

といった年でした。

今年、世間一般に流行った曲として、RADIO FISHのPERFECT HUMANnicopedia・RADWIMPSの前前前世nicopedia・ピコ太郎さんのPPAPnicopedia・星野源さんのnicopediaといったところが挙げられると思いますが、歌ってみたでもこれらの楽曲の歌ってみたが流行しました。なお、PERFECT HUMANは投稿本数こそ少ないものの__さんnicopediaの「【オリラジ】「PERFECT HUMAN」を踊ってみた 【__】」

のインパクトは大きく、しばらくランキングの上位に存在感を示しており、またPPAPも一定の存在感を示していました。ニコニコ動画の歌ってみたは2010年くらいまでは世間一般の流行とは隔絶したブームが起きていましたが、2011年のあいさつの魔法。あたりから世間の流行と同期する傾向が見られ、2013年のアナと雪の女王でその傾向が目立つようになっていました。2016年は世間一般の流行曲は歌ってみたでも流行するのが当たり前となり、この傾向は今後も続くものと思われます。
さらにPPAPや恋はボカロ曲以外の楽曲での踊ってみたのブームとの同期という古くて新しい現象が発生しています。実はかつて歌ってみたと踊ってみたはボカロ曲以外の楽曲でもブームを同じくすることが多くありました。男女やハレ晴れユカイなどがその代表的な事例です。その後、ボカロ曲では踊ってみたのブームと同期することがあったもののボカロ曲以外の歌ってみたがあまり伸びなくなったことからほぼなくなりました。さらにボカロ曲においてもよく歌われる曲とよく踊られる曲が分化していったことから、両方のブームが同一になるケースは少なくなっていましたが、2016年のラストで恋ダンスというブームとともに恋の歌ってみたもブームに火がつき、久しぶりにブームを同じくした格好となります。
踊ってみた側でも世の中のブームとの同期という現象が一般的になってきたのであれば、おそらくこうした現象は2017年も続いていくと思われます。

次のトピックスとしてはボカロ歌ってみたの復調です。2015年の振り返り「2015年の歌ってみたカテゴリーに関する雑感」で

全体的に替え歌を中心としたネタ系歌ってみたの再生数が伸びすぎているきらいもあり、以前のmagnet男性歌い手コラボブームのような何かちょっとしたきっかけによって、再びガチ系の歌ってみたの流れが強くなる潮目が2016年あたりには来そうな予感もしています。

とまとめましたが、まさにこの潮目が来たのが2016年の歌ってみたで、そのきっかけとなったのが2016年1月8日に投稿されたDECO*27さんnicopediaのゴーストルール

でした。DECO*27さん自身も「ボカロシーン、焼け野原からの再出発 DECO*27×Neru対談 – インタビュー : CINRA.NET」にて述べられているようにこの状況を自覚されているようですが、今年初頭のゴーストルール歌ってみたブームはかなりのインパクトをもたらしています。ここまで集中した投稿が続いたのは私が実感している範囲では2014年に投稿されたハチさんnicopediaのドーナツホール

以来のことです。歌ってみたの公式カテゴリランキングが一時期ゴーストルールで占拠される状況となりました。その後に続くボカロ曲がしばらくなく、2月くらいにはきっかけにならなかったと見ていましたが、その状況を一変させるボカロ曲が現れました。それが2016年4月5日に投稿されたナユタン星人さんnicopediaのエイリアンエイリアン

です。ゴーストルールが作り出した流れをうまく引き継ぎましたが、ゴーストルールとは違って継続して安定した投稿本数となるという新たな潮目を見せました。ゴーストルールが瞬発力で一気に伸びた後に余韻で投稿本数を増やしたのに対して、エイリアンエイリアンは持久力で安定した投稿本数を増やすというスタイルとなっています。この両輪に加えてボカロ曲歌ってみた復調の流れを決定づけたのが6月19日にNeruさんnicopediaが投稿された脱法ロック

です。これもまた大きなインパクトをもたらしています。脱法ロックは声優の緒方恵美さんnicopediaまでランティスチャンネルの動画「【歌ってみた】脱法ロック【緒方恵美】」(チャンネル動画はサムネイルが張れないためリンクで代用しています)で参入してきており、強く印象づけられることとなりました。前前前世と恋によって流れが非ボカロ曲に向きかけたところでボカロ曲歌ってみたの流れを維持させる役割を果たしたのは、バルーンさんnicopediaが10月12日に投稿されたシャルル

でした。元動画は50万再生をすでに突破しており、さらにバルーンさん自ら歌われたセルフカバー

は原曲を上回る70万再生に到達しています。投稿本数も381本と2か月あまりでかなりの数が投稿されています。さらにDECO*27さんが11月18日に投稿された妄想感傷代償連盟

は来年にこの流れをつなげる一曲となっています。投稿されてまだ1ヶ月半ですが、すでに50万再生を伺う勢いで、歌ってみた動画も12月25日5時時点で240本と昨年一昨年の不安定な状況が嘘のように力強い状況を見せています。2016に投稿されたDECO*27さんの楽曲は安定した歌ってみたの投稿本数を数えており、DECO*27さんに始まり、DECO*27さんさんに暮れた一年だったといっても良いと思います。

3つめのトピックスはネタ系動画の動きです。
2015年と比較すると2016年後半はやや力強さを欠いたきらいのあるネタ系動画ですが、それでも「【声真似】 こちら、リア充撲松委員会です。【歌ってみた】」

が130万再生したのを始め、今年前半はおそ松さんの声まね動画が勢いを見せていました。替え歌やネタ系歌ってみたについても年間ランキングの上位に詩人さんnicopedia弟の姉さんnicopediaといった常連組が引き続き顔を見せています。2013年くらいの再生数を考えると十分な評価を受けているといって良いでしょう。むしろ、ネタ系動画なら何でも伸びやすいという状況からきちんと作り込まれているものが正しい評価を受ける、という当たり前の状況になっただけ、と評価するのが正しいような気がします。

そして、かつて2014年に歌ってみたがプロモーションの場所として本格的に使われるようになったという分析をしましたが、2016年も各種のプロモーションが行われています。全体的にかなり差が見られる感もありますが、プロモーション層に関しては、よりインパクトを残して行くにはどうしたらよいのかを試行錯誤されていた一年だったようです。底を打ちつつある歌ってみた界隈に対する援軍のような立ち位置で、おそらくは来年も引き続きプロモーションの場として活用されていくものと思われます。

2016年の新規総投稿本数は約7万6千本となり、10月第2週には一週間の投稿本数がついに1500本を切りました。ただ、その後は本数が持ち直しており、おおむね底を打ったといって良いのではないかと思います。新たな投稿者層も散見されており、歌ってみた系アプリであるnanaやライブ配信サイトであるツイキャスから参入してくる歌い手も現れてきています。特にツイキャスから流れてくる方々は初投稿から一定のファンを伴っているため、いきなりランキングの上位に進出するケースが多く、しっかりとしたランキングが整っているニコニコ動画での新たなファン層獲得につながっているようです。こうした循環が今後も続くと思われますので、2017年からは若干上向きになるのではないかと予想しております。

引き続き、一部で歌ってみたに関する誤った情報が流れている状況がちらほら見受けられます。上向きになりつつあるこの局面で、歌ってみたの様々な情報を流すWebラジオプログラムやniconicoの公式チャンネルなどをご検討の向きがございましたら8年以上第三者的な立ち位置で主に数字を中心に歌ってみたを俯瞰してきたものとして、最大限の協力をさせて頂きたいと思います。

2016年の歌ってみた界隈を2017年の予想も少し入れて思うままに書いてみました。見ている位置によって見える風景は違うとは思いますが、8年間数字を中心に歌ってみた界隈を見続けてきた私にはこんな感じに見えている、ということでご理解いただけますと幸いです。

2017年は、2007年5月10日にニコニコ動画において歌ってみたカテゴリが設定され、「歌ってみた」という単語が公的に用いられるようになってから10年という節目を迎えます。2017年の歌ってみたは果たしてどんな景色となりますでしょうか。それでは、皆様良い年をお迎えください!