2015年の歌ってみたカテゴリーに関する雑感

2015年もあと1日足らずで暮れようとしております。
おかげさまで、2015年7月には週刊歌らんは350回を迎え、11月には7周年となりました。そんなこんなで7年以上歌ってみた界隈を第三者的な立ち位置で主に再生数などといった数字を中心にみてきた流れで2015年をざっくりと振り返りますと2015年は

  • ついに歌ってみたにも1000万再生動画があらわれる
  • 歌ってみたを席巻したアニソン
  • 再び替え歌や声真似が伸びる
  • HoneyWorksは相変わらず強い

といった年でした。

なんといっても2015年歌ってみた界隈最大のトピックといっても良いのが、ろんさんnicopediaの「おちゃめ機能 歌った」

が、2015年7月4日17時59分頃(コメントのログから週刊歌らんによる推定)にニコニコ動画史上7本目、歌ってみたとしては初となる1000万再生nicopediaに到達した、というニュースです。これまで6本しかなかった1000万再生達成はまさに快挙といっても良いと思います。

次のトピックとしては、歌ってみたをアニソンが席巻した点です。歌われた楽曲としてはボカロ曲が今なお一番多く、週刊歌らん一位の占有率もボカロ曲が高いという事実は変わらないのですが、全体としてアニソンの勢いの方が強く、上位で目立つのはアニソンばかりでした。アニソン以外では「あったかいんだからぁ♪nicopedia」は今年の前半によく歌われておりましたが、勢いは余り継続せず、春先まで持たなかった印象です。
今年の大型連休明けから秋くらいまで、歌ってみた界隈を席巻したのは、血界戦線のエンディング曲である「シュガーソングとビターステップnicopedia」です。元々ポテンシャルはありましたが、5月20日にじじじさんによる演奏してみた

が投稿されると一気に歌ってみたに火が付きました。その中でも一番再生されたのがまるぐりさんnicopediaの動画です。

半年ちょっとですが既に200万再生を超え、一時はもしかしたら年内300万再生をも行けるのではないか、という勢いでした。
そして秋以降はおそ松さんのオープニングである「はなまるぴっぴはよいこだけnicopedia」が席巻します。週刊ニコニコ歌ってみたランキング #367 [11月第3週]

では上位30位の動画のうち、9本が「はなまるぴっぴはよいこだけとなる」という事態にもなりました。いまだにこのブームは続いており、来年にも影響が残りそうな状況になっています。

替え歌については、「あったかいんだからぁ♪」ブームの最中に颯爽と登場したなっぱさんnicopediaの「かえれないんだからぁ♪」

が発端となった社畜っぷりを嘆く替え歌が席巻した年でした。それと同時に以前の替え歌からさらに鋭さを増した弟の姉さんnicopediaのニート系替え歌

も上位にランクインしております。さらに空前のおそ松さんブームの中で、おそ松さんの声真似動画や「はなまるぴっぴはよいこだけ」の替え歌が上位に伸びてきており、全体として、2013年くらいまでのガチな歌ってみた一辺倒、ネタ系歌ってみたが伸びきらないというランキング状況がうそだったかのように2007年から2008年の空気感が質の向上を伴って、目の前に繰り出されている感すらする一年でした。その意味では、週刊歌らんの年末最終号

kameさんnicopediaの「【野原ひろし】はたらくひろしはしごとだけ【おそ松さん】」

が一位になったのは、まさに今年を象徴する最終週の結果だった、といえます。

そうしたある種のネタ系歌ってみたが注目された一方で、ガチ系の歌ってみたで2014年からの強さを維持したのがHoneyWorksnicopedia楽曲です。

2015年投稿のボカロ曲の歌ってみたが、全体として投稿数や再生数で安定感を欠く中、HoneyWorks楽曲の歌ってみたは安定した投稿数と再生数で昨年から存在感を示し続けています。視聴者もアニメの主題歌として使用されたHoneyWorks楽曲から歌ってみたへ新規流入している印象もあり、まだしばらくHoneyWorks楽曲の歌ってみたは存在感を持って推移することでしょう。

そして、2014年は歌ってみたがプロモーションの場所として本格的に使われるようになったという分析をしましたが、2015年も各種のプロモーションが行われました。再生数などを見る限り、プロモーションを実施している主体の意図通りになっているかは疑問もありますが、落ち着いたといってもこれだけのボリュームを持っている歌ってみた界隈ですので、おそらくは来年も引き続きプロモーションの場として活用されていくものと思われます。

2015年の新規総投稿本数は約9万本となり、ついに10万本を切りました。一番投稿されていた2011年の約18万本強と比較すると半減しています。とはいえ、これだけの数の動画が投稿されているカテゴリはそうはなく、ニコニコ動画全体から見ても大きなボリュームを持った存在であることにはかわりはありません。また、投稿本数そのものは昨年より若干の減少でとどまっています。コミケの同人音楽・歌ってみた島やM3への来場動員も引き続き一時期の状況から回復傾向を見せており、全体的ににぎわいを見ています。そのような状況から総合的に判断して、歌ってみた界隈の下落傾向は底を打っているものの力強い回復傾向まではいたっておらず、弱含みの展開が続いているといって良い状況です。そうした中でアニソンの歌ってみたや替え歌といった2008年頃の主軸が再び歌ってみたを引っ張っている状況です。ただ、全体的に替え歌を中心としたネタ系歌ってみたの再生数が伸びすぎているきらいもあり、以前のmagnet男性歌い手コラボブームのような何かちょっとしたきっかけによって、再びガチ系の歌ってみたの流れが強くなる潮目が2016年あたりには来そうな予感もしています。

また、ネタにしてもガチにしてもアニソンが非常に強い状況で生じている、古くて新しい問題はアニメをそのまま利用することによる権利者削除です。演奏してみた界隈の尽力により、素晴らしいインストが提供される状況が一般的になりつつありますが、インスト自体は権利関係がクリアになっていてもアニメをそのまま利用してしまうとその部分の権利が黒となり、権利者削除の対象となります。最近は権利者側も考えていて、ムーブメントの最中には権利を行使せず、1年くらい経てから一斉に権利者としての権利を行使するという状況が、例えば進撃の巨人関連の動画で実際に発生しています。
アニソンを歌うとついアニメを動画として使いたくなるとは思いますが、そこはぐっと我慢して頂いて、静画に上がっている一枚絵を使用許諾に注意しながら使用するなど、極力権利関係がクリアになるような投稿が求められます。何万もの再生をもらっても権利者削除されてしまえば元も子もありません。そして、そうした名作ともいうべき存在がちょっとした注意で回避可能な権利者削除によって失われてしまうのは、歌ってみた全体にとっても大きな損失となります。ぜひとも動画には細心の注意を払っていただければ嬉しく思います。

個人的には、昨年あたりから歌ってみたに関しては歴史や成り立ちなどなど、いろいろなところで誤った情報が流れている状況がちらほら見受けられ、こうした状況に対する危惧があります。そこで、底を打ってきたこのタイミングで、どこかのレーベルやショップが主導して、歌ってみたの様々な情報を流すWebラジオプログラムやniconicoの公式チャンネルなどをはじめないだろうか、と思っております。歌い手がパーソナリティとなるよりは、ボカロや歌ってみたにある程度の理解のある声優さんにパーソナリティを務めてもらいつつ、幅広く様々な歌ってみたとその周辺に存在している同人音楽について扱うプログラムが望まれます。もし、そういうことを検討されている向きがございましたら長らく第三者的な立ち位置で歌ってみたを俯瞰してきたものとして、最大限の協力をさせて頂きたいと思います。

2015年の歌ってみた界隈を2016年の予想も少し入れて思うままに書いてみました。見ている位置によって見える風景は違うとは思いますが、7年間数字を中心に歌ってみた界隈を見続けてきた私にはこんな感じに見えている、ということでご理解いただけますと幸いです。

2016年の歌ってみたは果たしてどんな景色となりますでしょうか。それでは、皆様良い年をお迎えください!