【ニコニコ動画】カテゴリ再編などの前提となる観点

Twitterでざっくりツイートするだけじゃなく、ある程度文章としてまとめたほうが良いような気がしたので、まとめて見たいと思います。

もともとの発端は、ニコニコ動画カテゴリ会議とそのまとめニコニコ動画カテゴリ会議 放送後の反応です。

今のニコニコ動画で顕著に見られる反応はニコニコ動画カテゴリ会議の生放送ページにも書いてあるとおり「決まったカテゴリの動画ばかり上がってくる」「もっと面白いジャンルはないのか」という2点です。もう少し細かく見ると「ランキングにはいつもボカロと歌ってみたばかり」「検索をしてみても歌ってみたばかり」という反応があります。実際、ニコ生の最中もしきりにそれをコメントしている人々がいらっしゃいました。そして決まって「昔はもっと一体感があった」「分断されてしまって一体感がない」と続きます。それをどうにかしたいと思っている人たちが「カテゴリの問題だ」「ランキングの問題だ」という主張をしている流れです。

ニコニコ動画における「祭」の発生はどのようにして巻き起こるのでしょう。これはほかのサイトなどでも同じで、見つけた人から広める人に行き着いて、広める人たちの動きを見てみんなが寄ってくる、という流れです。こうした現象をすでに学問的な理論にまとめた方がいます。ロジャースが提唱したイノベーター理論とイノベーター理論に一石を投じたムーアのキャズム理論です。どういう理論かを説明し始めるとそれだけで相当な行数を使ってしまいますので、ここでは比較的わかりやすく図表入りでまとめられているイノベーター理論(1) | マーケティング・コンセプト | ミツエーリンクスをご紹介しておきます。よろしければご一読ください。

ここからの説明で用いる専門用語のざっくりとしたイメージはこんな感じです。

  • イノベーター:全体的に何か面白い動画がないかアンテナを張って情報を探し、情報を流している人々、好き嫌いを問わずニコニコ動画の幅広いジャンルのオピニオンリーダーをTwitterでフォローしているのがこの層の人々
  • オピニオンリーダー:好きなジャンルに関しては深い興味関心があるものの新着に張り付くほどではなく、イノベーターのもたらす情報や自分の生み出した検索方法などを組み合わせて面白いと思ったものをツイートしたり、マイリストへ入れたりする人々、ランキング動画の作者や動画紹介ブログ、動画紹介ニコ生の生主として活躍しているケースも多い、動画のブームを作り出すキーポイントになっている人々
  • アーリーマジョリティ:ある程度好きなジャンルはあるがそれほど熱心に探しているわけではない人々、気軽に話題の動画やニコ生見てコメントできればいい
  • レイトマジョリティ:ニコ動にアカウントは持っているものの毎日アクセスをするわけではなく、週末にざっくり見ている程度の人々
  • ラガード:基本的にニコ動は動物動画など自分の好きなものを自分だけで楽しむことを目的としている人々、ニコ動内の流行にはほとんど左右されない

さっきのまとめに登場してくるような人々はイノベーターやオピニオンリーダーですから、放置していても自分の独自な方法で勝手に動画を探すものです。ランキングや簡易な検索に頼るのはアーリーマジョリティでここがどう動くかで火がつくかどうかが左右されます。しかもニコニコ動画の場合は、全ジャンルにおいてオピニオンリーダーという人はおそらくほとんどいなくて、自分の好きなジャンル以外ではアーリーマジョリティであることが多いと思います。多くの人々から「決まったカテゴリの動画ばかり上がってくる」「もっと面白いジャンルはないのか」という声が出てくるのは、大部分ないしは全部のジャンルに関して、アーリーマジョリティな人々がニコ動の中心層を占めているからです。自分の行動パターンを振り返っていただければ判るかもしれませんが、どんなに好きなジャンルがある人でもそれほど好きではないジャンルの面白い動画は熱心に探すことはないと思います。また、例えばTwitterにおいて、ニコニコ動画関係者であれば幅広くフォローして情報を拾い、興味のないジャンルの動画でも一通りを見ているという人はそれほど多くはないでしょう。

そんなアーリーマジョリティの視点で見ると興味がちょっとあるという程度の事柄では、出来るだけ手間をかけずにおいしいところだけほしい、という思いを持っている人がほとんどではないかと思いますがいかがでしょうか。要するに”ここさえ見ていればそのジャンルのいまは大体わかるし、ニコ動全体ならここを見ればいいよ”という”ここだけ見ればいい場所”がほしいということです。

実は2008年のランキング改定が改悪と称されるのはまさにこの視点からの指摘で、私を含めたものぐさな人々にとっては、ここ最近でよく見られている新しい動画を簡単に知るすべがなくなってしまったということなのです。さらに悪くなったランキングを判りにくいところへ持っていってしまったがために余計に簡単に探すことが出来なくってしまうという悪循環を招きました。確かに動画トップにはランダムに動画が載りますが、誰の評価を経たわけでもない動画を見る人、しかもいちいちリロードしてチェックする人はオピニオンリーダーくらいで、そうした層はそんなところを見ることなく自分の検索方法で探してしまうでしょう。

ランキング改悪はニコニコ動画始まって以来の悪手 神は細部に宿り給うでは2008/08/03に

これまでのランキング機構が作っていた動画のライフサイクルはおおむねこんな感じでした。

  1. 投稿された動画を、検索・タグ・新着から廃人が掘り起こす
  2. 掘り起こされた動画が毎時ランキングに載る
  3. 毎時ランキングに載ったものをヘビーユーザが選別する
  4. 選別された夜の日間・週間ランキングをライトユーザが見る
  5. 月間・総合ランキングに末永く残る(さもなくば飽きられる)
  6. ランクインした作者・ランキングで面白い動画を見たユーザーがまた動画を作って投稿する(以下繰り返し)

 今回の変更はこの2と3に必要な機構を完全に破壊しました。そうしておいて4,5の成果だけ望むのは不可能です。

と私が今回書いている内容と類似の指摘を別の角度(製品ライフサイクル論)で展開されていますが、まさにこの問題がいまだに尾を引き続けて3年間来てしまったのが今のこの状況といえます。

毎時などのランキングページに関する問題やカテゴリとカテゴリランキングに関する問題、動画トップがわかりづらい問題はそれぞれ個別の事案ではなく、根っこのところは全て同じ問題であるという前提で今後の検討を進めていただければ、と思います。もちろん24時間新着毎時ランキングはサーバ負荷の問題があるなど、技術的な要素も関係してくるとは思いますが、その辺はユーザにも率直に説明して、よりよい代替案を探っていくという方法もあるのではないかと思います。

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【まとめ】良質な動画を多くの人に見てもらいやすくするにはイノベーターやオピニオンリーダーが見つけた動画を”ここだけ見れば判る”仕組みが必要で、カテゴリ再編などを考える際には”多くのユーザはものぐさである”という視点を忘れないでほしい