2019年の歌ってみたカテゴリー改め歌ってみたタグ界隈に関する雑感

2019年もあと1日足らずで暮れようとしております。
おかげさまで、2019年6月には週刊歌らんは555回を迎え、11月には11周年となりました。そんなこんなで10年以上歌ってみた界隈を第三者的な立ち位置で主に再生数などといった数字を中心にみてきた流れで2019年をざっくりと振り返りますと2019年は

  • 歌ってみたの投稿数は安定的
  • 引き続き親しまれるDECO*27さん楽曲、そしてかいりきベアさんの追い上げ
  • 歌ってみた動画はまふまふさんと浦島坂田船の独占状態だが……。
  • 再生工作と痩せ細る上位層

といった年でした。

まず、歌ってみたの年間投稿数ですが、74,197本(2018年12月25日午前5時~2019年12月25日午前4時59分59秒に投稿され、2019年12月25日午前5時時点で視聴可能だった動画)となり、2018年の同時期に投稿された動画本数と比較して256本増加しました。増加はしたものの昨年は1,909本増でしたので回復傾向もいったん一段落といった感じになっています。今年は後半に投稿本数が伸び悩みましたが、最後に記載するniconicoのカテゴリ廃止と再生工作による影響は否定できません。

次に歌われた楽曲ですが、DECO*27さんが歌われた楽曲の上位30本中6本(乙女解剖、アンドロイドガール、スクランブル交際、愛言葉Ⅲ、ゴーストルール、ヒバナ)を占め、一昨年以来の状況、しかも乙女解剖が1000本を超えて一位になりました。また、今年はかいりきベアさんの楽曲が3本(ベノム、ルマ、アンヘル)入り、追い上げを見せました。

歌ってみた全般としては、ともにNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンのアーティストであるまふまふさんと浦島坂田船さんが圧勝という状況になっています。両者に共通するのは、メジャーレーベルで商業流通するオリジナル楽曲を「歌ってみた」タグを付けてアップロードする点で、niconico出身のプロアーティスト、しかもメジャーレーベルでプロの歌手となっている方としては異例の手法を取っている点です。実際、この手法は従来かなり有効であったのですが、niconicoの様々な改変により、逆風になりつつあるように見受けられます。カテゴリが廃止され、オリジナル曲やVOCALOID楽曲、ニコニコインディーズなどがすべてまとめられて「音楽・サウンド」ジャンルとなったことで、それぞれのタグの意味が「投稿者のカテゴライズ」から「動画自体のカテゴライズ」へと変化してきていることが挙げられます。一例として、これまでVOCALOID楽曲の歌ってみたに「VOCALOID」タグを付けることはあまりありませんでしたが、カテゴリ廃止以後はアニメのタイトルなどを付けるのと同じ感覚で「VOCALOID」タグを付けるケースが増えています。このような変化が発生している状況で、商業流通する楽曲にカバーを想起させる「歌ってみた」タグを付けるのは分類軸としておかしくなりつつあり、実際にまふまふさんと浦島坂田船さんのタグ付けに対して、反発の声が上がっている状況もSNSでは観測されるようになりました。両者が所属されているNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンの戦略なのかもしれませんが、そろそろタグ付けの戦略を見直さないと逆効果になりつつあります。今年、まふまふさんの楽曲が歌われた楽曲上位に1曲しか入らなかった、また今年投稿したまふまふさんの動画が昨年投稿の動画を抜けず、結果として年間一位が昨年の動画となってしまったのもその辺の影響が少なからずありそうだと考えています。

さらに今年の特記事項として、歌ってみたの特定歌い手に対して、膨大な再生工作が行われたことを上げておきます。前述の投稿本数伸び悩みと関連するのですが、過去動画への再生工作によって、新規動画がランキングなどに出づらくなっていることが上位層の再生数の伸び悩みにつながっています。今年の年間ランキングで上位100位にまふまふさんと浦島坂田船さんが多数入り、独占状態になってしまったのも最上位層に位置する彼らはランキングからの集客に依らず、公式TwitterなどのSNSをメディアとして活用することでファンを動画へ呼び込むことができるためで、結果としてやや減少傾向にあるものの安定した再生数をたたき出すことができます。
一方、自身のSNSに絶大な影響力があるわけではない他の歌い手にとって、一番大きい軸は公式ランキングになります。ところが、一番目立つランキングが「音楽・サウンド」ジャンルランキングになったことで競争倍率が著しく上がってしまった上に最上位層の安定した再生数や再生工作で過去動画が上がり続けるような状況となってしまって、ランキング上での露出が減ってきています。
他方、実は中位層より下はいままでと変わらない状況です。週間初動の再生中央値や第三四分位が安定的に推移していることからも確認できます。こちらは流入源がタグ検索などであり、元々ランキングとはあまり関係ないためです。
こうした状況が生じた結果、元々減少傾向にあった週間初動の再生合計数は​、2019年6月からその減少傾向を上回る低空飛行を続けています。これは上位層のみならず、今後の歌ってみたを支えることになる中堅層の投稿意欲をそぐ恐れがあり、長い目で見て極めてまずい状況だといえます。一番重要なのはあからさまな再生工作を実施しにくくするための方策を採ることですが、現在のniconicoはログインしなくても見られるオープン化を進めている状況ですので、これはなかなか難しいように思えます。そこで、次善の策として、ランキングのアルゴリズムを新しい投稿が有利な状況に改定することを挙げたいと思います。現在のランキングアルゴリズムはniconico​運営サイドが定めており、対外的に詳細が公表されていませんので、その辺は修正がやりやすいでしょう。投稿からの経過年数に応じて再生増分に漸減の補正を掛ける(マイリストやコメントはいまのアルゴリズムのまま)​だけでもだいぶ違うと考えます。ぜひともご検討頂きたい点です。
また、カテゴリがなくなったことで、やはりコミュニティ感が薄れてきていることも事実で、その上2017年末までのniconico運営の有り様から様々な分野で「動画紹介」をするユーザが減少してしまっています。それがコミュニティによる影響を受ける中堅層から上位層にあまり良くない状況をもたらしています。​ニコニ広告を利用した動画紹介など、niconico​運営サイドでも少しずつ方策を採られている状況ですが、可能であればniconico​運営公式の動画紹介ニコ生を帯番組として放送してはどうかと考えています。曜日ごとに紹介テーマとMCを設定して、リスナーから推薦したい動画を寄せてもらって紹介するリクエスト番組を想定しています。紹介テーマは例えば、月:踊ってみた・火:ゲーム実況・水:歌ってみた・木:VOCALOID・金:週替わりのようなイメージです。それぞれのテーマに詳しい声優にMCを務めてもらえば、幅広い視聴者層も獲得できるような気がします。本来niconico​運営サイドでこのようなことをする必要がないのが理想なのですが、2011年以降2017年末に現在の体制になるまで、niconico​運営サイドの採ってきた施策により、niconicoのユーザコミュニティは縮小する一方でしたので、今後10年先を見据えた土台の再整備として、いまはniconico​運営サイドによるてこ入れが必要な段階だと感じています。もし、このような番組をされるようであれば、私もデータ提供など最大限のご協力をいたしますので、何卒ご検討頂ければ幸いです。

そして最後に毎年書いていることですが、引き続き一部で歌ってみたに関する誤った情報が流れている状況がちらほら見受けられます。一応11年以上毎週歌ってみたを数字で見続け、歌い手の皆様の動きなども追いかけ続けている中で、さすがにこれは変ではないかと思った件に付いてはTwitterにて言及させていただいております。もし、歌ってみたの様々な情報を流すWebラジオプログラムやniconicoの公式チャンネルなどをご検討の企業団体、歌ってみたについて記事にまとめたいというメディアなどがございましたら11年以上第三者的な立ち位置で主に数字を中心に歌ってみたを俯瞰してきたものとして、最大限の協力をさせて頂きたいと思います。

2019年の歌ってみた界隈を思うままに書いてみました。見ている位置によって見える風景は違うとは思いますが、11年以上数字を中心に歌ってみた界隈を見続けてきた私にはこんな感じに見えている、ということでご理解いただけますと幸いです。さて、2020年の歌ってみたは果たしてどんな景色となりますでしょうか。それでは、皆様引き続きよろしくお願いします!