2022年の歌ってみたタグ界隈に関する雑感

歌ってみた年次レビュー歌ってみた動画データ分析ニコニコ動画関連各種考察
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2022年もあと数時間で暮れようとしております。
おかげさまで、2022年4月には週刊歌らんは700回を迎え、11月には14周年となりました。そんなこんなで10年以上歌ってみた界隈を第三者的な立ち位置で主に再生数などといった数字を中心にみてきた流れで2022年をざっくりと振り返りますと2022年は

  • 歌ってみた Collection始まる
  • ユーザー企画投稿祭の増加
  • うたスキ動画の連携が切れる
  • はろー!にゅ〜みゅーじっく!始まる
  • TikTokから派生したメガテラ・ゼロさんの活躍
  • バーチャルライバーも存在感
  • よく聴かれる曲もよく歌われる曲もニコニコに原曲があるものへ回帰

といった年でした。

まず、歌ってみたの年間投稿数ですが、86,648本(2021年12月25日午前5時~2022年12月25日午前4時59分59秒に投稿され、2022年12月25日午前5時時点で視聴可能だった動画)となり、2021年の同時期に投稿された動画本数と比較して1,204本増加しました。
全体総数としては増えたものの主な要因としては2回行われた歌ってみた Collectionとユーザー企画投稿祭(ニコニコバーチャル動画投稿祭、ボカロ懐メロ祭2022)による投稿増加があり、それ以外の週は2017年水準にまで落ち込んでいる状況となっていました。

週次の投稿数が減少する中で、存在感を示したのは、ニコニコ公式で始まった「歌ってみた Collection」(歌コレ)です。
春と秋に2回開催されましたが、開催週の投稿総数は、春が3120本、秋が4378本とかなりの本数増加となっており、歌われた楽曲に関しても歌コレの課題曲が伸びるなど、その存在感はかなり大きなものがあります。また、ユーザーが企画した投稿祭に関してもニコニコバーチャル動画投稿祭開催週の投稿総数が2355本、ボカロ懐メロ祭2022が2317本と目立って増加しました。

一方で、それ以外の週、特に歌コレ開催週の前後については投稿本数が伸び悩む状況となっており、例えば一番落差の目立った秋の歌コレ前週が1306本、翌々週が1352本という状況となりました。さらにこれまで週次投稿数の1割弱を占めていたJOYSOUNDうたスキ動画が2022年11月30日をもって連携終了となり、特にイベントのない週の投稿数減少が2023年には大きな問題としてクローズアップされる可能性があります。

こうした状況の中でスタートしたのが、ニコニコ公式生放送である「はろー!にゅ〜みゅーじっく!」です。
歌ってみただけではなく、音楽ジャンル全体を扱う公式ニコ生ではありますが、歌ってみた課題曲ランキングというコーナーがあります。これは毎月特定の楽曲を歌って、所定のタグロックを行うことで集計されるランキングで、普段のランキングにはなかなか顔を出すことができない方でも十分に載る可能性があるものとして注目しています。まだ知られていないこともあり、12月にはあまり大きな存在感とはなっていませんが、歌コレの開催にあわせて周知宣伝活動や歌コレの企画との連動を実施することによって、この企画が知れ渡るとうたスキ動画の連携終了を補ってあまりあるインパクトがあるのではないかと期待しています。

投稿者個別としては、メガテラ・ゼロさんニコニコ大百科へのリンクの活躍が大変に大きく目立った年となりました。
もともと昨年から再生数などがぐんと伸びていましたが、今年はTikTokやYouTube Shortsにおいてメガテラ・ゼロさんの歌ってみた動画を使用した踊ってみたなどが爆発的なブームとなり、特に「酔いどれ知らず」は原曲以上によく用いられるという状況となったことで、フルサイズを聴きたい方がニコニコの元動画へ殺到するという事態に発展しました。
もちろん、実際にはメガテラ・ゼロさんに限らず、TikTokやYouTube Shortsからの流入は観測されております。さらにこうした動きはここ最近に始まったものではなく、過去にもnanaやツイキャスからの流入があったなど、ニコニコの歌ってみたにはそうしたハブとなる側面も存在しています。ただ、ここまで大きなうねりとなったのは今年に入ってからです。今後ますますこうしたサイト間をまたいだユーザーの行き来が太くなっていくと思われますので、再生数を伸ばしてプロへの道を模索していくのであれば、歌コレによって公式企画が整ったニコニコをキーにして、YouTubeへの同時投稿のほか、ショートバージョンのTikTokなどへの展開など、幅広く戦略を打っていくことが重要になっていく時代になってきた、といえるでしょう。

さらに今年を象徴しているのがバーチャルライバーの活躍と浸透です。
バーチャルライバーの歌唱動画(第三者による切り抜きなども含む)に付けられている「VTuber唱歌」タグは徐々に増えつつある状況でしたが、今年は一気に使用率が増え、今年初めには2000本に満たなかったのが、現時点で6000本を超えるという状況です。しかもそのうち今年投稿の動画は3700本強と過去のものに付けられただけでなく、むしろ今年投稿された動画が大変に目立つ状況です。前述の歌ってみたコレクションでも上位にバーチャルライバーが入り、ニコニコの歌ってみたにおいては欠かせない存在となっています。

そして、今年歌われた楽曲は、ついにほぼニコニコ内に原曲のある楽曲へと回帰しました。ニコニコに原曲がない状態で多数投稿されたのは2本でしたが、一本はニコニコに元動画がないのに大手レーベル公式による投稿祭が行われ、もう一本は後日その動画だけ本人によって投稿されたようですので、事実上、0本と言っても過言ではない状況となりました。加えて、週次ランキングの上位には、ニコニコ内に原曲のない楽曲も多数入っているのですが、最終的な伸びが足りず、年間トータルですとあまり存在感を持ち得ない状況となっています。
このような情勢の変化に加えて、ボカコレや歌コレなどといったニコニコ公式イベントが盛況、復活した超バーティーに対する盛り上がり、クリエイター奨励プログラムを通じた原曲への確実なフィードバック、ゆっくり茶番劇などを通じたネット界隈からの見え方の変化なども踏まえますとオリジナル曲を投稿されている方、特にボカロ曲を作られている方は、投稿先をYouTubeオンリーにしてしまうのはもったいない時代に突入したというのは断言しておきたいと思います。

最後に毎年書いていることですが、引き続き一部で歌ってみたに関する誤った情報が流れている状況がちらほら見受けられます。一応14年以上毎週歌ってみたを数字で見続け、歌い手の皆様の動きなども追いかけ続けている中で、さすがにこれは変ではないかと思った件についてはTwitterにて言及させていただいており、先般、地上波テレビにおいて明らかに数字の読み方と歴史的経緯を間違って伝えていた際には、連続ツイートなどをさせていただきました。
いま目立っている方々は、2000年前半からの様々な流れの中で、たまたまそのタイミングでそこにいたる努力をしていた人がピックアップされたものであって、その地位に至るために相当の努力をされたことは尊敬いたしますし、頭を下げるほかないのですが、歌ってみたがここまで著名になったという状況は特定個人による努力のみに帰結するような事柄ではありません。現在の歌ってみたの有り様は、多くの人が関わり、努力を続けたからこそ成し遂げられたものです。
今後も歌ってみたに関する誤った情報が流された場合には引き続き、Twitterなどで言及させていただきます。
また、その番組が流れた際には、私以外で持っているとは思えないデータが一般情報であるかのように報道されていましたが、そうしたデータの提供も私から行うことも可能ですので、もし、歌ってみたの様々な情報を流すWebラジオプログラムやニコニコ公式チャンネルなどをご検討の企業団体、歌ってみたについて記事にまとめたいというメディアなどがございましたら14年以上第三者的な立ち位置で主に数字を中心に歌ってみたを俯瞰してきたものとして、最大限の協力をさせて頂きたいと思います。

なお、2022年には以下の配信においてご協力させていただいております。よろしければご覧いただければ幸いです。


2022年の歌ってみた界隈を思うままに書いてみました。見ている位置によって見える風景は違うとは思いますが、14年以上数字を中心に歌ってみた界隈を見続けてきた私にはこんな感じに見えている、ということでご理解いただけますと幸いです。さて、2023年の歌ってみたは果たしてどんな景色となりますでしょうか。それでは、皆様引き続きよろしくお願いします!

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