空気の変わったニコニコ動画における歌ってみたの戦略について

歌ってみた動画データ分析ニコニコ動画関連各種考察
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2017年11月の「niconico(く)発表会」大炎上騒動以降、niconicoの体制が大きく変わり、よどんでいた空気が入れ替わることで、いまのniconicoの雰囲気は2008年の頃の空気感に戻ってきています。その結果、niconicoの中でジャンルを横断したミニブームが起き始める状況が垣間見られるようになり、「たべるんごのうた」という動画から派生した動画群が一大ブームを巻き起こすに至りました。「たべるんごのうた」タグの動画数は既に700を超え、公式ランキングの全ジャンルにも多数入っています。多少クオリティが雑でもすぐに100再生を稼ぎ、ちょっといい感じになった動画は1000再生を超える勢いで視聴者が集まっている状況です。

この現状は2008年のniconicoみたいだなあ、と思うもののあの頃と一番大きく違うのは、とにかく歌い手さん達がこのトレンドにほとんど乗ってこないことです。2008年だったらおそらく歌い手しかもトップランナーによる替え歌が大量投稿されていたはずです。しかしこのブームではほとんどの歌い手がブームを知らないのか、全く乗ってこない現状があります。

これまで歌ってみたはともすれば「ハイエナ」などと呼ばれてしまうくらい、niconicoのブームに貪欲に食らいついていた界隈でした。2011年東日本大震災直後に発生した「あいさつの魔法」ブームにしても2014年に一世を風靡した「アナと雪の女王」にしても、歌ってみたのトップランナーがそのブームに乗って一緒になって遊びつつ、ブーム前には無名だった歌い手がブームの波に乗って躍進する、そんな光景が多数見られていたのです。
ところが、今回のこの「たべるんごのうた」ブームでは歌ってみたが全く存在感を持ち得ない状況となっています。それはなぜか。ほとんど投稿がないからです。投稿がなければ当然存在感を示すことはできません。トップランナーはもちろん、その下に控えている人たち、さらには中堅層などにいたるまで、このブームに乗ってこない現状があります。これまでと比較して、いまのトップ層はniconicoのブームや空気感には無関心で合計動画再生数を増やすために動画置き場として利用しているだけの商業プロ歌い手が占有している状況なので、ブームに乗ってこないのは読めるところではありましたが、中堅層すらも乗ってこないのは正直驚いているところであったりします。おそらく中堅以下の歌い手にも無意識のうちに「歌ってみたがブームを生み出す」という幻想があるのではないでしょうか。

確かに歌ってみたはこれまで多くのブームの発火点となってきました。一番大きなmagnetのブームも含めて、大小問わず、歌ってみたが発火点になって、様々なブームが生まれてきました。しかしそれは歌ってみたが起点になったのではなく、火のつき始めたムーブメントに歌ってみたが乗ることで爆発的に広まった、というもので、歌ってみたが本当に起点になったブームは先に挙げた「あいさつの魔法」も含めてほとんどありません。それはもともと歌ってみたは超初期の「おっくせんまん」のころからブームに乗ることで人を増やしていた界隈だからです。「ガチの歌ってみたが好まれる」という状況についても原曲であるボカロ曲がブームになり始めたところを歌ってみたの投稿本数の多さでロケットエンジンのように一気にばく進させる、というものであくまで原曲への注目があってのことでした。加えて、「アナと雪の女王」以降、歌ってみたで発生したミニブームがランキングを席巻するという状況が数回ありましたが、これはniconicoの各界隈が分裂して相互に干渉し合わない「空気の重い」状況が続いていたことで、全新規投稿本数から見て相対的に投稿本数が多い歌ってみたのブームが目立つという当時の独特な流れから生じたものであり、それによって歌ってみたの特性が変わったものではありません。

このような「ムーブメントに勢いを付ける歌ってみた」という特性を踏まえ、さらに2008年のような空気感が戻っているniconicoで、歌ってみたが取りうる戦略はniconicoのムーブメントをしっかりと押さえて、その流れに乗るということになります。投稿本数では未だに歌ってみたは主流派ではあるもののniconicoのいまのトレンドから見ると歌ってみた界隈、特にトップランナーが乖離しているという事実から逆にいま伸び悩んでいる歌い手にとっては、niconicoのトレンドに乗ることで伸びるチャンスがあるともいえます。実際、2008年くらいは、そういうniconicoのトレンドに乗ったことで一気に知名度を上げ、トップランナーの仲間入りをした人たちがたくさん出た時代でもあるので、2017年末以降のドワンゴ運営体制変更によって空気感があの頃になっているいま、そういう戦略を採るのはありなのではないかと考えます。替え歌を一から考えるのが苦手でもいま再生数が伸びている替え歌動画をガチ勢が「才能の無駄遣い」をしてマジに歌い上げるだけでも絶対にウケます。実際にコメントでも今まででは考えられなかった「歌ってみた来ないかな」というコメントが来ているくらいです。

せっかくniconicoで歌ってみたしているならいまのniconicoのトレンドに乗って知名度を上げるという戦略もありだと思いますので、是非とも多くの方に検討いただければ幸いです。

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